「DJI Osmo Pocket3」と「Insta360 Ace Pro2」。
暗所でも使える小さいカメラを探している人には魅力的なモデルです。
ただ、暗所性能以外の特徴はかなり違います。
そうした違いを踏まえて自分に合ったほうを選ぶために重要なポイントをまとめてみます。
この記事の対象者
- 暗いところでも活躍する動画用のカメラを探している
- 他のカメラからの乗り換えを検討中
- 自分の使い方にマッチするか確認したい
この記事でわかること
- DJI Osmo Pocket3とInsta360 Ace Pro2の比較
- 各カメラの強み・弱点
- 各カメラに向いているパターン
今回比較するカメラ
DJI Osmo Pocket3
vlog撮影に最適なジンバルカメラ「Pocketシリーズ」の3作目。
前作からスクリーンのサイズが大きくなり、使いやすさがアップしています。
Insta360 Ace Pro2
Insta360とライカの共同開発「AceProシリーズ」は描写力と使いやすさを兼ね備えた次世代のアクションカメラです。
デュアルAIチップ方式で演算能力がAceProの2倍となり、クオリティはさらに磨きがかかっています。
DJI Osmo Pocket3 vs Insta360 Ace Pro2 比較表
DJI Osmo Pocket3 | Insta360 Ace Pro2 | |||
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タイプ | ジンバルカメラ | アクションカメラ | ||
発売時期 | 2023年10月 | 2024年11月 | ||
①デザイン | 重量 | 179g | 177.2g | |
サイズ | 139.7 × 42.2 × 33.5 mm | 71.9 × 52.2 × 38 mm | ||
バッテリー | タイプ | 内蔵式 | 交換式 | |
容量 | 1300mAh | 1800mAh | ||
撮影可能時間 | 最長166分 | 最大100分 | ||
条件 | 1080p@24fps | 4K@30fps | ||
急速充電 | ||||
ストレージ | タイプ | マイクロSDカード式 | マイクロSDカード式 | |
容量 | 最大512GB | 最大1TB | ||
スクリーン | 前面 | 2インチ | 0.7インチ | |
背面 | 2.5インチ フリップ式 |
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防水性能 (本体のみ) | なし | 12mまで 潜水ケース利用時:60mまで |
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動作温度 | 0℃ ~ 40℃ | -20°C〜45°C | ||
マウント設計 | マグネット式 | |||
ハンズフリー制御 | なし DJIマイクによる制御あり | ボイスコントロール ジェスチャーコントロール |
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②映像 | センサーサイズ | 1インチ | 1/1.3インチ | |
絞り | f2.0 | f2.6 | ||
ISO | 100-6400 | 100-6400 | ||
解像度最大フレームレート | 通常 | 4K60fps | 8K30fps 4K120fps |
|
スローモーション (音無し) | 4K120fps | 4K120fps | ||
HDRモード | HLG | アクティブHDR |
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NDフィルター装着 | ||||
低照度撮影モード | ||||
画角 | 広角|15mm※ 標準|20mm ※広角レンズ使用時 | アクション広角|16mm メガ広角|13mm 超広角 デワープ リニア |
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FOV | 広角|108° 標準|80° | 157° | ||
アスペクト比 | 16:9(9:16) 1:1 | 2.35:1 16:9(9:16) 4:3 |
||
ズーム | デジタルズーム | クラリティズーム | ||
最短撮影距離 | 20 cm | 40 cm | ||
オートフォーカス | ActiveTrack 6.0 | |||
最大ビットレート | 130Mbps | 200Mbps | ||
カラー | 標準 | 標準 | 標準 鮮やか |
|
フラット | フラット | |||
Log | D-Log M | i-Log | ||
ビット深度 | 10-bit | 8-bit | ||
水中色精度 | アクアビジョン2.0 |
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手ブレ補正 | ジンバル | 電子手ブレ補正 オフ FlowState 低 FlowState 標準 FlowState 高 水平維持45度 水平維持360度 |
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マイク | 数 | 3 | 3 | |
外部マイク接続 | ||||
定価 | 本体のみ | 74,800円 | 64,800円 |
表ではユーザビリティと映像品質に関する項目を分けました。
マーカー部分は比較した時に優位なことを意味しています。
ここからは各カメラの特徴をもう少し深掘りした上で、それぞれのカメラに向いているパターンをまとめることにします。
DJI Osmo Pocket3の特徴
- 1インチセンサー搭載
- 3軸ジンバル(物理ジンバル)による手ぶれ補正
- フェイストラッキングや背景ボケ
- カラーグレーディング耐性
- DJI Micシリーズとの連携
- 強度
- ハンズフリー制御
- ズーム
- 画角
DJI Osmo Pocket3の長所 Ace Pro2よりも良い点
比類なき暗所性能
1インチセンサーやf2.0でより明るく撮影しつつ、ジンバルで物理的に手ブレ軽減できることは暗所での強みです。
映像表現
フォーカス性能が高く、背景をぼかすこともできます。
カラーグレーディングをする上で10bitカラー対応も有利です。
フェイストラッキング
人の顔を認識して、被写体の動きに合わせてカメラの向きを調整してくれます。
例えば、人混みでカメラを使うと視野が狭くなって人にぶつかったり、危ないですが、フェイストラッキングがオンになっていれば、歩きながらの自撮りでもスクリーンをチェックする必要がありません。
このようにVlogではフェイストラッキングが活躍する場面がけっこうあります。
最短撮影距離
最短撮影距離20cmと比較的被写体に近づいて撮影できます。
製品紹介モードなども搭載されており、物撮りも得意です。
DJI Micとの連携
音声収録の点ではAcePro2よりも有利です。
DJIには自社開発のマイク製品があります。
アダプターを介さずにカメラとマイクを接続できるので、使い方もシンプルでコンパクトさをキープできます。
DJI Osmo Pocket3の短所 Ace Pro2よりも劣る点
強度
ジンバルという精密機器によって防水にはなっていませんし、落下やダメージへの耐性も弱くなってしまいます。
AcePro2と比較すれば、天候に左右される点は見落とせません。
耐用年数
バッテリー内蔵式なのでAcePro2よりも寿命は短いことが考えられます(ある意味使い捨て)。

ハンズフリー制御
縦型デザインなので手で持ちやすいですが、その分、置いて撮る時は大変です。
また、Ace Pro2に搭載されているジェスチャーコントロールなどもありません。
デジタルズーム
Osmo Pocket3のズームはデジタルズームです。
ズームすると画質が劣化します。
画角(広角レンズは別売)
Osmo Pocekt3の標準画角は20mmですが、vlog等での使用を踏まえるともう少し広角で撮影したいところです。
広角レンズを使うことで15mm相当での撮影が可能になりますが、別売です。
AcePro2は本体のみでOsmo Pocket3と同等以上の広角を実現できます。
不意に外れやすいのも弱点です。

Insta360 Ace Pro2の特徴
- 動作環境の広さ
- バッテリー交換式
- ハンズフリー制御
- クラリティズーム
- 水平維持360度
- 低照度性能
- トラッキング性能
- カラーグレーディング耐性
Ace Pro2の長所 Osmo Pocket3よりも良い点
使えるシーンが多い
防水・防塵設計で気温がマイナスでも動作するので活躍の場は多いです(天候にほぼ左右されません)。
バッテリー交換式で長く使える
Osmo Pocket3のようなバッテリー内蔵式カメラはバッテリーが消耗すると製品寿命を迎えます。
AcePro2はバッテリー交換で対応できるので耐用年数は長いと言えるでしょう。
ちなみにAcePro2からスマホ等に給電することができます。
(モバイルバッテリーのように使えるという意味)
ダメージに強い
AcePro2はOsmo Pocket3と比較すると全体的に強度が高いデザインです。
アクション撮影にも対応できるデザインで、落としたりしても故障しづらく、万が一、レンズに傷がついても自分で交換することができます。
ハンズフリーで使いやすい
声やジェスチャーで制御できるため、カメラを離れた場所に設置して使うのも簡単です。
また、横長なのでちょっとした水平があれば置くことができます(床・テーブル・台になっているところなど)。
ズームしても劣化しない
Ace Pro2では解像度を保ったまま、ズームすることができます(クラリティズーム)。
360度水平維持
OsmoPocket3のジンバルは可動範囲が決まっているため、水平維持に限界があります。
一方、AcePro2の水平維持モードは360度まで対応できるため、限界がありません。
Ace Pro2の短所 Osmo Pocket3よりも劣る点
低照度でのクオリティ
Ace Pro2のピュアビデオモードは低照度に強いモードですが、Osmo Pocket3と比較すると明るさではやや不利です。
(センサーサイズ・絞り・ジンバルや実際の映像などを踏まえて判断)

トラッキング性能
Osmo Pocket3ではフェイストラッキング(被写体を追いかけてフレーム内に捉え続けることができる)やボケ感のある映像撮影もできますが、Ace Pro2では対応できません。
最短撮影距離
被写体から40cm以上離れないとピントが合いません。
そういう意味で接近して撮るのにはあまり適正がないかもしれません(食べ物、商品、植物など)。
カラーグレーディング耐性
Ace Proは8bitカラーのみです。
DJI Osmo Pocket3に向いているパターン
- 映像クオリティ重視
- プランを持って撮る
- インドアでの利用が中心
映像のクオリティ重視
映像の美しさを優先するならOsmo Pocket3が向いています。
カラーグレーディングやカメラ動作・背景ボケなどシネマティックな映像表現が実現できます。
美肌モードもあることから人物の撮影にも適しています。
カラーグレーディングで世界観を表現したり、他と差別化したいと考える人も多そうですね。
プランを持って撮る
瞬発力で言えばアクションカメラに劣ることからシナリオのある撮影に向いています。
フォーカス性能があるのでプロっぽく見えます。
イメージとしては
- 食レポや商品紹介ビデオの撮影(商品の細かいディティールを伝えることができる)
- ミュージックビデオの撮影(アーティストやパフォーマーが移動しても追尾できる)
など
インドアでの使用割合が高い
室内での利用がメインならジンバルカメラで十分に対応できます。
気温や天候に作用されず、そこまで激しい動きも必要がないからです。
さらに暗所でのパフォーマンスはAcePro2を上回るので、暗くなりやすい屋内で使う場合もPocket3は活躍します。
Insta360 AcePro2に向いているパターン
- 汎用性・バランス重視
- 色編集は重視しない
- ノープランで撮る
- スポーツで使う
- 旅系・アウトドア系コンテンツ
 
汎用性・バランス重視
総合力でみるとAce Pro2はバランスが良いです。
- 天候・気温
- 水陸両用
- タフさ
- 操作性
- 多機能
- 画質
- 価格
いろんなシーンで使えるオールラウンドなカメラをちょうどいい価格で手に入れられます。
色編集は重視しない
AcePro2は編集で映像の色味を調整したい人にとってみるとやや対応が遅れています。
(競合のアクションカメラは2年ほど前から10bitカラー編集に対応していますし、Pocket3も10bitですが、AcePro2はまだ8bitです。)
8bitと10bitでは表現できる色の幅が異なります。
8bit vs 10bit
- 8bit:約1600万色
- 10bit:約10億色
ノープランで使うことが多い
AcePro2のようなアクションタイプカメラのほうが突発的な撮影に有利です。
使いたい瞬間にすぐに起動できますし、直感的に使えるため、シャッターチャンスを逃しにくいです。
ジンバルカメラは起動までの時間がかかったり、予想外の動き・急激な動きについて行くのが難しく、シャッターチャンスを逃しやすくなります。
逆に落ち着いて撮るならジンバルカメラがいいことも多いです。
アクションを撮る(スポーツで使う)
フォーカスが固定な分、意図しないフォーカスによってミスショットになる可能性が少ないことから、アクションカメラとしてスポーツ時にも活躍します(車,バイク,自転車,ウィンタースポーツ,マリンスポーツなど)。
旅系・アウトドア系コンテンツ
屋外で使うにはアクションカメラのタフさが便利です。
繰り返しになりますが、雨でも使えますし、カメラを置いたり、ポケットにしまったりを気軽にできるからです。
(Pocket3はそのあたりを雑にするとジンバルが壊れるリスクがあります。一旦電源をオフにしてケースにしまうまでの時間もけっこうかかります。)
また、撮れる映像のことを考えてみても、フォーカスが固定のカメラのほうが使いやすいでしょう。
例えば、人物と景色を見せたいような状況でPocket3だと人物にフォーカスして背景がボケた映像になったりします。
もちろんそういう意図があるならいいですが、どちらも見せたいとすれば逆に使いにくくなります。
さらに、AcePro2なら外付けワイドレンズを使わなくても広角で撮ることができます。
迷ってるならレンタルしてみるのもオススメ
気に入ったら買うくらいの気持ちで一度使ってみるのも悪くないと思いますよ。
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DJI Osmo Pocket3で撮った動画
Insta360 Ace Pro2で撮った動画
準備中
最後に
よければアンケートであなたの出した結論を教えてください。
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