Insta360が新たに1インチセンサー搭載の360度カメラを出してきました。
個人的な感想ですが、360度カメラと言えば、やっぱり今はInsta360が最強ですね。
もともとInsta360には縦型の360度カメラとしてONE X2がありましたが、新しく出た『Insta360 ONE RS 1インチ 360版』はそれとどう違うのか、どのようなアップデートが見られるのか?
両者を比較してみます。
今回比較するカメラ
Insta360 ONE RS 1インチ 360度版
2022年3月に出たモジュラータイプのアクションカメラ『 Insta360 ONE RS 』の拡張版。
ONE RSはすでに360度撮影に対応してましたが、1/2.3インチセンサーでした。それが今回、この1インチモデルにアップグレードすることでより高画質の360度映像が撮影できるようになります。
ちなみに「ONE RSは持っていないし、必要ないけど、この1インチ版だけを買えるの?」って話ですが、その点は大丈夫です。
Insta360公式サイト に「ONE RSを持ってる人向けのパッケージ」と「新規で買う人向けのパッケージ」が存在します。
ONE RS 1インチ 360度版が優れている点
高解像度
暗所撮影時のノイズ少なさ
Insta360 ONE X2
Insta360の360度撮影専用カメラ(2020年発売)。
ONE X2が優れている点
防水性
携帯性
スロモ撮影対応
【後継機】X3が発売されました
2022年9月発売された後継機はこちらです。ONE X3ではなくてシンプルにX3というネーミングになったようです。
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Insta360 ONE X2 vs X3 どっちを選ぶ?
Insta360のXシリーズは縦長デザインが特徴の360度カメラです。 シリーズ2作目のONE X2の時点ですでに完成度の高い人気モデルでしたが、その後継機となるX3でどんなアップデートが見られたのか ...
Insta360 ONE RS 1インチ 360度版 vs Insta360 ONE X2 スペック表
Insta360 ONE RS 1インチ 360度版 | Insta360 ONE X2 | ||
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発売時期 | 2022年6月 | 2020年11月 | |
① | サイズ | 239g | 149g |
重さ | 53.2 x 49.5 x 129.3mm | 46.2 x 29.8 x 113 mm | |
バッテリー | 1350mAh (6k@30fps 62分) | 1630mAh (5.7k@30fps 80分) |
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ストレージ | 最大1TB | 最大1TB | |
防水性能 | IPX3 | IPX8 10m防水 |
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② | センサー(インチ) | 1 | 1/2.3 |
最大解像度 | 6K 30FPS | 5.7K 30FPS | |
最大ビットレート | 120Mbps | 100Mbps | |
画角 | 6.52mm | 7.2mm | |
色味 | LOG 標準 鮮やか | LOG 標準 鮮やか |
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手ブレ補正 | 6軸 電子手ブレ補正 | 6軸 電子手ブレ補正 |
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オーディオ | ステレオマイク 外部マイク対応 | ステレオマイク 外部マイク対応 |
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定価 | 118,800円(新規) 96,600円(アップグレード) | 55,000円 |
両カメラの360度動画撮影に関係するスペックをざっくりまとめてみました。
ONE RS 1インチ 360度版で進化したポイント
結局のところ、1インチセンサーを搭載した360度カメラというのが最大のポイントです。
暗所での性能
センサーサイズが大きくなって光が少ない場所で撮った時のノイズ感はかなり減っています。
解像度
5.7kから6kへのアップです。たったの0.3kかと言いたくもなりますが、データが大きすぎても編集が難しくなります。最近はスマホで編集する人も多いので現実的なラインなのかもしれないです、
多分、上げすぎるとハイスペックなスマホじゃないと処理できないですし、難しいですね。
ビットレート
1コマあたりの容量が大きくなっています(情報量が増えたということ)
画角
画角が若干広くなっています。
ONE X2のほうが良い点
バッテリーのもち時間
最大解像度での撮影時、ONE X2のほうが20分ほど長く使えます。
携帯性
ONE X2のほうが薄くて軽いです。しょうがないことですが、ONE RSは大きなセンサーを搭載したことでサイズ的に太くて重くなってしまってますね。
動画モードが減った?
ONE RS 1インチ 360版のページにはいくつか書かれていないモードがあります。HDRやバレットタイムなど。これは使えなくなるのか、それとも今後のアップデート待ちなのかまだわからないですね。多くの人にとっては最重要ポイントじゃないのでそこまで気にする必要はなさそうですが…
ちなみにバレットタイムモードっていうのは頭の上でカメラをタケコプターのように振り回す撮影方法ですが、重くなった分、リスクがあり公式には推奨してないのかもしれません。
防水性
ONE RSの防水等級はIPX3となっています。これは雨くらいなら問題ないですが、水に落とすと故障する可能性があります(IPX3の耐水性は主に小雨や雪レベルでの想定です)。
一方、ONE X2はIPX8。なのでレベル的に5段階の差があることになります。
水辺での撮影ならONE X2を使ったほうが良いです。
もちろん、「どうしてもONE RS 1インチ 360度版で水中を撮りたい」と言うなら水中撮影用のハウジングを使うなどの方法がありますが...。
スローモーション
ONE RS 1インチ 360版は基本、30fpsか24fpsで撮影する前提のデザインになっているようです。
まあ、360度カメラはスローモーション撮影用に使われることが少ないため、重視されてない印象ですが、スロモ素材を撮るならどちらかというとONE X2のほうがまだマシです。
ただ、スロモ撮影に関しては結局のところ、別のカメラが必要になるでしょうね。
360度カメラのストロングポイント
普通のカメラでは撮れない動画が撮れる
360度カメラが優れている点としては、普通のカメラではありえない映像撮影が可能になることです。
例えば、自撮り棒が消える仕組みによって全身を自撮りしたり、ドローンのように高い視点から撮ったり、空中をなめらかに移動する動画を撮影できます。
また、普通のカメラだと1方向しか撮れないのでカメラマンが意識した画角の外は取り逃します。ところが、360度カメラならカメラマンの意識していない部分まで含めて撮れます。
そういう意味ではカメラを回してさえおけば、意図せず、偶然、面白いシーンが撮れていたみたいなことが起こりやすいかもしれません。
Insta360 ONE RSで撮った動画
※1インチ版ではなくてツイン版の360度レンズ(5.7K)を使用しています。悪天候のため、画質はあまり良くないですが、条件が悪いとこれくらいになってしまいます。1インチ版ならもうちょっと画質は良いはずです。
動画にバリエーションが出る
やはり360度カメラで撮ったクリップがあるだけでパッと見で印象的な動画になります。
似たようなコンセプトのカメラを複数持っていても役割的にけっこう被るので普通はどっちかの出番が減ってしまいます。
一方、標準的なカメラと360度カメラなら役割的にも被らず、両カメラを有効活用できます。
2台体制時の役割(例)
- 標準的なカメラ:高画質映像, スローモーション, タイムラプス
- 360度カメラ:ドローン風, AI編集
撮影スキルがあまり必要ない
360度カメラを使ったことがないと何となく難しそうに感じますが、実は逆で撮影方法はかなりシンプルです。
普通のカメラだと頻繁に設定変更が発生しますが、360度カメラは一度設定したらあとは撮りっぱなしにできます。
AI編集がスゴい
Insta360のアプリでは撮影した素材を選択するだけでAIが凝った自動編集をやってくれます。
もちろん素材によっては上手くできないこともありますが、自分で編集すると1時間くらいかかるような内容を短時間でできるので満足度が高いです。
Insta360のAI自動編集でできること(2022年4月時点)
残像分身 / 電撃ウォーク / フライラプス / ストップモーションミックス / ストップモーション / ピクセライズ / パラレルプラネット / スターラプス / スピンビュー / オートタイムシフト / スプリットジャンプ / 影分身 / 回転世界 / タイムフリップ / ロールプラネット / ジャンププラネット / フェイスオフ / 巨人ジャンプ / ゴーストタウン
ちなみに360度カメラの編集に対応した動画編集ソフトを使えば、AI編集に頼らず、自分で編集することもできます。(Premiere Proとかファイナルカットプロは360度動画の編集に対応してます。)
360度カメラの弱点
編集の手間は多い
一般的なカメラで撮影した動画素材を編集する時と比較してひと手間増えます。
360度カメラ(撮影から編集までの基本的な流れ)
- 撮影
- 360度素材から使う部分をリフレーム←ココが手間になる
- 編集
- エクスポート
360度で撮った素材から自分が使いたいところをリフレーミングする必要があります。
▼ FinalCutProの編集画面ですが、画面右が360度で撮った素材、左はそこから使うシーンを選んでいます。
実は解像感が均一ではない
ちなみに360度カメラで撮影した映像素材をよく見ると画面の中心が一番解像感が高くなっています(画面の端に行くほど歪みが発生し、若干解像度が下がる特徴が見られます)。
このあたりも場合によっては編集でカバーする必要があります。
スロモ撮影向きではない
ハイフレームレート撮影も対応してたりしますが、編集時に360度映像の中から必要な部分を選ぶわけなのでエクスポートする動画は高画質ではなくなります。スローモーション撮影用のカメラとしては他のカメラのほうがいいでしょう。
慎重に扱う必要がある
両側にレンズが付いているので気軽においたり、ラフに扱えば、レンズカバーに傷がつく原因になります。傷がついたとしてもレンズ部分は自分で交換できません。
一応ケースが存在するので使わない時はレンズ部分を覆うなど、最低限の注意は必要です。
Insta360 ONE RS 360 1インチ版とInsta360 ONE X2ならどっち?
これは人によりますね。
ONE RS 360 1インチ版は画質優先で、防水性とか携帯性、スローモーションなどの弱点が残っています。また、価格差も単純計算で2倍です。
ONE X2をすべての面で上回っているわけではないのでケースバイケースじゃないでしょうか?
参考までにONE X2の動画も置いておきます。
Insta360 ONE X2で撮った動画
※一部GoProとスマホも使っています。
最後に
個人的にInsta360 ONE X2の購入を見送ってONE X3を待っていたタイミングでの発表でした。
ある意味、予想を裏切られましたが、360度カメラは伸びしろがありそうなのでInsta360には頑張ってもらいたいです。