半導体不足の影響で長いこと生産停止になっていたα7cとZV-E10。
一時は在庫不足で価格が高騰していましたが、生産が再開し、すっかり通常通りに戻ってきましたね。
両カメラはいまだに根強い人気があるので、これから動画撮影目的で購入を検討している人も多いと思われます。
値段からも分かる通り、当然、性能やターゲット層などには違いはあるわけですが、両モデルを比較しつつ、購入前に知っておいたほうがいいことをまとめてみます。
(ちなみに僕はα7cユーザーです。)
今回比較するカメラ
a7c
世界最小のフルサイズミラーレスとして登場。よくa7IIIの小型軽量化したモデルだと言われています。
ZV-E10
ソニーのVLOGカメラシリーズ。レンズ交換式のデザインを採用しています。
a7c vs ZV-E10 動画撮影に関する比較表
a7c | ZV-E10 | ||
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発売時期 | 2020年10月 | 2021年9月 | |
①使いやすさ | サイズ | 124 x 71.1 x 59.7 mm | 115.2 x 64.2 x 44.8 mm |
重さ (バッテリー&メモリカード込) | 509g | 343g | |
カラーバリエーション | ブラック シルバー | ブラック ホワイト |
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バッテリー時間 (連続動画撮影時) | 140 〜 220分 | 80 〜125分 | |
メモリーカードスロット | シングル | シングル | |
モニター | バリアングル | バリアングル | |
素材 | フルマグネシウム合金 | 合成樹脂 | |
②映像品質 | センサーサイズ | フルサイズ | APS-C |
解像度 | 4k 30p HD 120p | 4k 30p HD 120p |
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手ブレ補正 | 5軸補正 | 電子手ブレ補正(アクティブ ) レンズ手ブレ補正( スタンダード ) |
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AF性能 (リアルタイムトラッキング) | |||
カラー(ピクチャープロファイル) | S-Log2 S-Log3 HLG | S-Log2 S-Log3 HLG |
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Vlog用モード | 背景ボケモード 商品レビュー用設定 美肌モード |
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本体定価 | 240,900円 | 79,200円(本体のみ) 89,100円(本体+キットレンズ) |
以上が簡単なスペックですが、初心者だと表だけ見てもわからないと思うので、まずは主な違いやそれぞれのカメラの強み・弱みをまとめてみます。
その後に、各カメラに向いているパターンを解説します。
両カメラの主な違い
①使いやすさ
本体の素材
a7cはコンパクトながらもしっかりした作りで安っぽさは感じません。一方、ZV-E10はプラスチックということもあり、持っていてもあまり高揚感などはありません。ここは価格差が如実に出ていますね。
バッテリー
各カメラには別のバッテリーが搭載されています。
- a7c:NP-FZ100(9,900円)
- ZV-E10:NP-FW50(9,240円)
ZV-E10のほうがバッテリーが小さい分、連続して使える時間は短いです。ちなみに価格を調べてみたらほとんど差がないのは意外でした。
EVF(ファインダー)の有無
ファインダーは主に写真を撮る時に使うものなので両カメラともEVFはそこまで重視されていないようです。
a7cにはギリギリ付いていますが、ZV-E10は思い切って省かれています。
カラーバリエーション
ブラックの他にシルバーとホワイトがあります。
黒くないカメラはカジュアルに見えるので、外で使う時に威圧感を与えずに使いやすいと言ってもいいかもしれません。
②映像品質
センサーサイズ
なんだかんだ言って両カメラにおける最大の違いはセンサーサイズです。
これによって良くも悪くも解像度、値段、サイズ感、重さに差が出ます。
モード
ZV-E10にはVlog用のオートモードが付いています。
「プロ用カメラだとまず付けないだろうな」というおまけみたいなモードです。
僕はこのあたりにZV-E10は趣味用カメラというかサブ的な位置づけなんだなという印象を受けました。
値段
本体価格ですが、単純計算で3倍の差がありますね。
a7cの特徴
ZV-E10よりもGoodな点
暗所性能・ボケ感・ダイナミックレンジが優れている
センサーサイズが大きいので仮に全く同じ設定・同じレンズで撮影したとしてもZV-E10よりキレイに見えますし、ボケ感が強くなります。
加えて、ダイナミックレンジも広いです。
レンズの性能にもよりますが、光量が少ない場所で撮影してもノイズが少ないです。
(ただし、本当に暗所性能に優れたモデルを求めているならa7sシリーズなど別の選択肢も検討する必要があります。)
広角で撮れる
フルサイズとAPS-Cならまったく同じレンズを使ったとしてもフルサイズのほうがより広い範囲を切り取ることができます。
ボタンが多い
好みの設定にカスタマイズして呼び出しできるので慣れれば便利です。(ZV-E10はもともと付いているボタンが少ないです。)
作りがしっかりしてる
フルマグネシウム合金ボディなので持った時や見た目のしっかり感が違います。もちろん、ZV-E10よりも丈夫です。
写真撮影もしやすい
撮ろうと思えば、写真もしっかり撮れるカメラです。
ZV-E10よりもBadな点
本体価格もレンズも高い
フルサイズカメラは必ずしもいいことばかりではなく、弱点も抱えています。
機材が高いので揃えるのが大変になりやすいですし、どうしてもサイズは大きく重くなります。
a7cを選んだほうがいいパターン
- 本格的なカメラがほしい
- 暗いところでもキレイに撮影したい
- よりボケ感がほしい
- 広角で撮りたい
- 設定をカスタマイズしたい
ZV-E10の特徴
a7cよりもGoodな点
コスパがいい
APS-C用のレンズはフルサイズ用のレンズより安いので初期投資額が1/3以下に抑えれます。
SONY純正のレンズも意外と種類が豊富で、サードパーティから出ているレンズも多いのでレンズにはあまり困らないでしょう。
他のメーカーで似たようなサイズ感、機能のカメラを買うと本体のみで10万円は超えてきます。ZV-E10は10万円以下で手に入るVlog用カメラとしては現時点でコスパ最高です。
シンプル
a7cよりもボタンが少なかったり、VLOGに便利なオート機能もある点で初心者にとってはとっつきやすいはずです。
a7cよりもBadな点
バッテリー容量が小さい=撮影時間が短い
ZV-E10のバッテリーで撮影できる時間は短いです。
長めの撮影が予想されている時はモバイルバッテリーを用意したり、予備バッテリーを買うなど対策は考えておかなければなりません。
画角が狭い
自撮りしつつ背景を画面に収めることを考えると広角で撮るのが理想ですが、APS-Cだとフルサイズカメラと比較して画角は狭くなります。
この点はAPS-Cを選ぶ限り、どうしてもつきまとう課題です。
素材が安っぽい(プラスティッキー)
そこまで気にする必要があるかわかりませんが、良いカメラと並べると安っぽく見えます。
手ブレ補正がビミョー
手ブレ補正のクオリティはあまり高くないです。
SONY純正のCatalyst Browseというアプリがあり、それを使うことでいくらか手ブレを軽減することはできるものの、かなり手間がかかる作業となっており、実用性は低いというのが現実です。
ZV-E10を選んだほうがいいパターン
- 予算が限られている
- スマホより良いそこそこのクオリティの動画用カメラがほしい
- サブカメラを探している
悲報|屋外に持ち出すなら正直どちらも手ブレに課題はある(動画のベスト機種ではない)
どちらもあまり動き回らずに撮る分にはいいカメラですが、手ブレ補正の観点で見ると、やはり動画撮影前提で開発されたカメラと比較して完成度が劣っています。
なので、外での撮影時にはどうしても手ブレが気になることでしょう。
解決策としては3つ方向性が考えられます。
解決策①ジンバルを使う
ジンバルに乗せて撮影すれば、手間やコストは上がりますが、手ブレが軽減され、動画のクオリティは上がります。
解決策②動画撮影時の手ブレ補正が強いカメラを選ぶ
SONYには本格的に動画撮影をする人向けのモデルがあります。
α7S IIIやFX3は値段は上がってしまいますが、a7cやZV-E10よりも動画性能が上です。
解決策③アクションカメラを選ぶ
アクションカメラはかなり手ブレを抑えられるため、外での撮影には重宝します。
暗所性能などは低いものの日中の撮影であればコスパはいいです。
最後に
まとめるとコスパよりもクオリティ重視ならa7c、コスパ重視ならZV-E10というところでしょうか?
僕はa7c気に入ってますが、やはり屋外で撮るならあまりオススメはしません。
お金があるなら解決策②、それ以外は解決策③が現状のベストかと考えています。