ファイナルカットプロはあまり理解せずに使うと重くなりがちです。
でもいくつかのポイントを知っているだけでかなり楽に作業できます。
極端な話、何も学ばずに使っているなら実は今より90%以上の容量を節約し、編集作業がサックサクに軽くなる可能性があります。
もし、知らないならあまりにももったいないので今回はその話を書きます。
FCPでサクサク作業するために必要なこと
以下のポイントを踏まえればFCPが重すぎる大体の問題は解決するはずです。
コツ① キャッシュをこまめに消す(ストレージを空けておく)
FCPでは編集するたびにキャッシュファイルが増えていきます。
左上にあるバックグラウンドタスクを見るとレンダリングの部分が常に動いてますが、あれが動いている時はキャッシュファイルが作成されています。
↓ もしくはタイムラインの上部に白い点線が出てますが、あれもレンダリングのサインです。
レンダリングは作業時の読込を早くするために不可欠ですが、これがMacの動きを遅くする原因でもあります。
キャッシュファイルは編集作業で何か変化を加えるたびに、無限に増えるのでストレージはみるみる足りなくなって行きます。
そしてストレージ容量がなくなるとFCPがそれ以降の作業を停止してしまいます。
ストレージの空きを確保するためにもキャッシュはこまめに消したほうがいいです。
コツ② バックグラウンドレンダリングをオフにする
バックグラウンドレンダリングはオフにすることもできます。
バックグラウンドレンダリングにはメリットとデメリットがあるのでオンにしたほうがいいこともあるのですが、プレビューを繰り返す必要ないようなシンプルな編集をするならオフがオススメです。
バックグラウンドレンダリングオフにするメリット
パフォーマンス向上:コンピュータリソースが解放され、編集がスムーズに。スペックが低いマシンには有効です。
保存容量の節約:レンダリングファイルによるディスクスペースを節約できる。
バックグラウンドレンダリングオフにするデメリット
プレビューの質の低下:レンダリングしてないクリップはスムーズにプレビューできないことがあります。複雑なエフェクトを使用してるならオンにしておいたほうがいいです。
エクスポート時間の延長:エクスポート時にまとめてレンダリングを行うため、最後に時間がかかる。
コツ③ 高解像度で作業しない
最終的に4Kのファイルを書き出すとしても編集時に4Kで作業してたらあっという間に重くなります。
なので完成形に近づくまでは低解像度状態で作業するというのも手です。
個人的には特別な事情がなければ、HD(1080)以下でも十分作業できると感じます。
編集時はHD⇒書き出す直前で4Kというイメージです。
状況に応じた解像度を選択する
4K撮影した動画でも大きな画面で見る予定がないプロジェクトは2Kや1080P HDなどで作業するだけでもかなりスムーズです。
当然、解像度は低下しますが、ファイル容量が小さくなり、書き出しスピードもアップします。
コツ④ ファイルをそのままにするを選ぶ
素材をインポートする際、以下の2つの選択肢があります。
どっちを選ぶかも結構重要です。
- ライブラリにコピー(Copy to ライブラリ)
- ファイルをそのままにする(Leave files in place)
「ライブラリにコピー」を選ぶと
素材を置いてある場所だけじゃなくて、ライブラリの中にも素材のコピーが作られることを意味します。
仮に素材が50GBなら、2倍の100GBのストレージを消費します。
「ファイルをそのままにする」を選ぶと
無駄にコピーを作ることがなくなり、ストレージ容量を食うことを回避できます。
コツ⑤ 編集機材に投資する
長時間動画や複雑な編集をするとデータは当然ながら重くなります。
本格的に動画を作るならやはり編集作業環境に投資する必要があります。
具体的には言えば、Mac本体のスペックをアップグレードして、ストレージも増やしたほうが有利です。

FCPのキャッシュを消す方法
以下の2ステップで進めてください。
STEP1 キャッシュを確認
まずは具体的にどのくらいキャッシュが溜まっているか確認しましょう。
ライブラリを選択する
ライブラリを選択すると、画面右にキャッシュ欄が表示されているはずです(デフォルトの画面構成で使っている場合)。
- 軽くしたいライブラリを選択
- 現在のキャッシュが表示されている
今回の例では7.8GBがキャッシュです。
STEP2 生成されたライブラリファイルを削除する
キャッシュを消しましょう。
やり方はファイルメニューを開いて「生成されたライブラリファイルを削除する(Delete Generated Library Files…)」を選択するだけです。
すると↓のような表示がでてきます。
3つのチェックボックスと一番上のチェックボックスの項目として2つの選択肢がでてますね。
今は一番上のチェックボックスのところだけでOKです。
2つの選択肢についてはどっちを選ぶか悩むかもしれませんが、普通は以下の基準で選ぶと良いはずです。
- まだ作業中の場合:不要なレンダリングファイルのみを削除(Unused Only)
- 編集済みの場合:すべてのレンダリングファイルを削除(All)
作業時の解像度を下げる方法
編集作業時の解像度を下げるために2つの方法が考えられます。
方法1 1080P以下で編集する
編集前に設定した動画の解像度とかアスペクト比は途中で変更できます。
なので一旦解像度低めで作業すると軽いです。
プロジェクトを選択
- 編集中のライブラリを選択
- 動画のプロジェクトファイルを選択
- 画面右にある紫の変更ボタン(Modify)をクリック
プロジェクトのフォーマットを編集
4Kになっている場合は1080P HDとかでも十分です。
(とりあえず今回は1080に設定することにしますね。)
書き出すまではこの状態で編集作業を進めます。
書き出す時にまた解像度を上げる
動画ファイルをエクスポートする時になったらまた4Kとかに上げてから書き出せばOKです。
作業時はオリジナル品質で作業しています。
M1モデル(2020年)より古いマシンを使っている場合はこのやり方が通用するかわかりませんが、M1搭載の機種ならできます。
方法2 プロキシファイルで作業する
軽く表示するために品質を落としたバージョン(プロキシ)で作業して、書き出し時はオリジナル品質でエクスポートするという方法です。
一般的にはプロキシを使う人のほうが割合は多いかもしれません。
プロキシファイルで作業するデメリット
- 4Kのプロキシ容量はHDよりも大きくなりがち
- プロキシの分だけ容量が増える
- プロキシを作るのに時間がかかる
自分がプロキシで編集しているかわからない場合は、表示(View)をクリックし、メディア再生(MEDEIA PLAYBACK)を見れば確認できます。
- 最適化/オリジナル(Optimized/Original)
- プロキシ優先(Proxy Preferred)
- プロキシのみ(Proxy Only)
ここで「プロキシ優先」か「プロキシ」のみを選択しているなら、恐らくプロキシで作業しているはずです。
(すでに設定を色々いじっていたりする場合についてはここだけではなんとも言えません。)
方法1と方法2の使い分け
方法1がおすすめなパターンは文字などを入れないシンプルな編集の時です。
逆にテキスト・タイトル・字幕をがっつり入れるような編集は方法2のほうが向いています。
HDで入力したテキストは4Kに変更するとズレる可能性があります。
ファイルをそのままにする時の注意
メディア(動画素材・画像・音楽)の場所は重要です。
メディアはライブラリと同じストレージで一元管理しましょう。
例えば、
ライブラリファイルはSSDに作成
動画素材はSDカードに入れたまま読み込む
というようにライブラリとメディアを別の場所に置くと素材の読込・転送でラグが発生し、カクカクして作業になりません。
基本的にSDカードの転送速度はSSDと比較すると桁違いにショボいんです。
重要なので繰り返しますが、ライブラリと素材は同じストレージで一元管理するのが基本です。
FCPをガッツリ使う人のための作業環境
①メモリは最低16GB以上推奨
「YouTube動画制作におすすめのMacは?」と聞かれたら——
最低でもM1チップ搭載・メモリ16GB以上のMacをおすすめします。
動画編集では、これくらいのスペックがないと快適とは言いづらいからです。
ちなみに僕自身は、以前はM1チップの8GBモデルを使っていましたが、現在は**Mac mini(M4チップ/24GBメモリ)**に買い替えました。
単純計算ではスペックが約3倍になっていますが、だからといって処理速度も3倍速くなる、というわけではありません。
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②モニターも別で買う
MacbookProとかMacbookAirでもいいですが、常にあの小さい画面で編集するのは大変すぎます。
なので自宅での作業時は外部モニターを使います。
動画編集を本格的にやるなら4Kの大型モニターがあると便利です。ちなみにTVでもやろうと思えばできます。
③ストレージを増やす(ポータブルSSDを買う)
こまめにキャッシュを消すのが面倒な場合はストレージを増やしてしまうのも有効です。
もちろんそのうちキャッシュで満杯になるので消す必要はありますが、ストレージ容量に余裕があれば、キャッシュを消す頻度は下がります。
FCP用にポータブルSSDを選ぶ場合の注意点を書きます。
容量は500GB以上
できれば容量は500GB以上をおすすめします。
250GBだと少なくてあっという間にいっぱいです。
もちろんカメラで使ってるSDカードの容量にもよりますが、仮に256GBを使っている場合だとSSDに入り切らなくて作業ができないからです。
じゃあ、128GBのSDカードを使っているなら256GBのポータブルSSDでいいのかと言うと、やはり500GBをおすすめします。
なぜかというと動画データが128GBだとしても編集のキャッシュデータが生成されるからです。
キャッシュデータだけでも場合によっては100GB行くこともあります。
転送速度は500MB/秒以上
転送速度も重要です。
早いものだと1000MB/秒のものもありますが、コストが上がるのでバランスを考えると500MB/秒以上となっている商品を選ぶのが多分正解です。
これくらいあれば、4Kでの編集にもギリギリ対応できます。
アマゾンのノーブランド品には注意
アマゾンで検索すると、聞いたことが無いメーカーがポータブルSSDを出していたりします。
ありえないことに売れているポータブルSSDのデザインをほぼそのままパクっています。
さらにありえないことにSSDと言うネーミングで売っているのに中身はハードディスクだったりします。
予算は1~1.5万円くらいが相場(2021年10月時点)
現在、有名メーカー製で保証とかもちゃんとした商品を求めるなら1~1.5万円くらいの予算を見たほうが良いです。
それよりも大幅に安い場合はちょっと疑ったほうがいいかと思いますね。
僕が具体的に使っている商品
Samsung ポータブルSSD T5の500GBです。アマゾンにはこれそっくりのパクリ商品もあるのでくれぐれも気をつけてください。
逆に考えるとSamsung ポータブルSSD T5はパクられるほどの人気商品とも言えますね。
他の人気商品
日本人が書いたブログをチェックするとSamsungよりもSanDiskが支持されているようですね。ちなみにスペック的にはSankDiskがちょっと上ですが、ほぼ互角なので好みで買えば良いと思います。
ぶっちゃけどっちがいいの?
ポータブルSSD選びに迷ったら以下の記事も参考にしてください。
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【ポータブルSSD】Samsung vs SanDisk 動画編集にどっちを選ぶ?
動画編集をするなら必須アイテムとなるポータブルSSDですが、大切なデータの保存先なのではじめて買うならやはり定番商品から選ぶのが安心です。 ノーブランド品だと情報が少ないですし、保証について記載されて ...
まとめ
今回はFCPでサクサク作業するためのコツを書きました。
▼ 今回、書ききれなかったことは近いうちに続編として書きます。
- FCPユーザー超必須の基礎知識編|構造とワークフロー
- ファイナルカットプロでよく使うショートカットキー