360度カメラとポケットジンバルカメラ。
スマホからのステップアップに面白い動画カメラですが、それぞれの特徴や得意なシーンは異なっており、適材適所で選びたいところです。
このページでは両者の違いを整理してその判断材料を提供します。
この記事の対象者
- ポケットサイズのカメラを検討しはじめた
- 自分の用途に合っているか確認したい
この記事でわかること
- 360度カメラとポケットジンバルカメラの違い
- ポケットサイズカメラを選ぶポイント
- 両方持つメリットはあるか
今回比較するカメラ
360度カメラ
Insta360やDJIの360度撮影に特化したモデルを念頭に置いて話を進めていきます。
ポケットジンバルカメラ
ポケットジンバルはDJIが開発した3軸ジンバル搭載のモデルを念頭に置いて話を進めていきます。
(DJI以外のメーカーによって開発された商品は圧倒的にシェアが低いため、今回は無視します)
360度カメラとポケットジンバルカメラの違い
360度カメラ | ポケットジンバルカメラ | |||
---|---|---|---|---|
設計 | 形状 | 棒状・縦長 スリム 不安定 | 棒状・縦長 スリム 不安定 |
|
重量 | 軽い 200g程度 | 軽い 200g以下 |
||
防水・防塵 | 対応 | なし | ||
扱い | やや注意が必要 両サイドにレンズあり | 繊細 | ||
映像 | モード | 標準モード | 最大4K | 最大4K |
HDRモード | ||||
暗所モード | 一部対応 | |||
360度モード | 最大8Kモデルあり | |||
画角 | 超広角 | |||
広角 | レンズ別売 |
|||
標準 | ||||
オートフォーカス | ||||
撮影環境 | アウトドア | 得意 | やや不得意 雨や水に弱い |
|
インドア | 普通 | 得意 | ||
暗所 | 普通 ノイズ感が出やすい | 得意 | ||
予算感 | 7万円〜 | 10万円 |
360度カメラの特徴
テキストリンクをクリックすると補足解説へ移動します(ページ内スクロール)。
ポケットジンバルカメラの特徴
テキストリンクをクリックすると補足解説へ移動します(ページ内スクロール)。
補足解説
撮り逃しがないから、撮影以外に集中できる(360度モード)
カメラの接続・固定用アクセサリー類が豊富。
撮り逃しがないので何かをしながらの撮影にも向いています。
(運転中・アクション中・ウォーキング中・舞台裏の密着など)
手持ち撮影の場合もアクセサリーを使って距離を変えながらさまざまなバリエーションのショットを試せます。
防水性があり、さまざまなシーンに対応
カメラが防水なので屋外で使う時の安心感が違います。
逆にジンバルは精密機器ということもあり、水のそばで扱う時は注意が必要です。
カメラワークが直感的
カメラを被写体に向ければ撮影できるというシンプルさは直感的で誰でも使いやすいです。
ジンバルの場合、いくつかのモードがあり、挙動を学習する段階があるのではじめは難しく感じる人もいます。
広角でのダイナミックな映像
360度カメラのほうがより広い視野(画角)で撮影できます。
画角が広いと複数人での撮影がしやすかったり、被写体と風景を同時にフレームに収めることができます。
これにより動きが強調されてダイナミックに見える効果があります。
広角映像を活かした臨場感のある風景撮影にも向いています。
パンフォーカス(風景やアクション撮影で効果的)
画面全体にピントが合うレンズのため、撮影中に意図せずボケてしまうことがありません。
ポケットジンバルカメラはオートフォーカスで使うこと多くなるので、撮影途中で被写体を見失ってピンボケしてしまうことがあります。
強力な電子手ブレ補正(カメラ内部でデジタル処理)
電子手ブレ補正は激しく動くアクションシーンに有利です。
ポケットジンバルカメラは素早い動きに対応するのに限界があります。
暗所撮影が苦手
暗所モード等もありますが、ポケットジンバルカメラと比較すると明るさ・ノイズ・ブレ感が目立ちます。
編集に手間がかかる
360度撮影した素材から画角を決めるリフレーム作業が発生します。
ポケットジンバルと違って撮った素材をすぐに使えるわけではないので手間がかかります。
また、編集機材のスペックが低いと作業が遅くなったり、止まったりします。
基本的に手持ちで撮影
手持ち撮影でも安定した映像を撮れるのが基本的なコンセプトです。
ポケットジンバルカメラをマウントして使うためのアクセサリーも存在しますが、やや例外的です。
3軸ジンバルによる滑らかな手ぶれ補正(物理的な手ブレ軽減×デジタル処理)
ジンバルによって物理的に手ブレを吸収し、カメラを安定させることで滑らかな映像を実現できます。
ジンバルによるスムーズなカメラワーク
ジンバルにはいくつかの撮影モードが搭載されています。
代表的なモード
- フォローモード
- チルトロックモード
- FPVモード
暗所撮影時の安定感
暗所で撮影した時に綺麗なのはポケットジンバルカメラです。
理由
- 明るいレンズが採用されている
- 大きなセンサーで光を多く取り込める
- 物理的に手ブレを軽減できる
オートフォーカス(背景ボケやフェイストラッキングなどの映像表現に効果的)
フォーカス機能によってボケ感を出したり、センサーが大きくダイナミックレンジ(明暗の幅)が広い点で、人物撮影ではアクションカメラよりも活躍します。
衝撃には弱め(防水性能なし)
精密機器が搭載されており、防水性能もないことから相対的に故障リスクは高いです。
ジンバル操作習得に学習が必要
360度カメラと比較して直感的でない部分があります。
挙動や操作方法に慣れる必要があります。
基礎知識
- パン:水平方向の動き
- チルト:垂直方向の動き(上下に動かす)
- スピン:時計回り・反時計回り
シーン別の適性
アクションスポーツ
サーフィン、スノーボード、バイクなど
防水性能が求められるので360度カメラがおすすめです。
自撮りもカメラのことを気にすることなく撮れるのでアクションにフォーカスできます。
アウトドア環境
場合によります。
自然・登山・キャンプ
アウトドア体験・アウトドア活動が目的なら360度カメラになります。
天候に左右されずに使えますし、マウントアクセサリーでハンズフリー撮影もできるのでアクティブに行動しやすいでしょう。
ロケ
例えば、自然環境の中で映像作品を撮影するというような場合ですね。
この場合はポケットジンバルカメラのほうが映えるような動画を作りやすいです。
ただ、悪天候・水中・水上での撮影、広角広角ショットによる風景撮影になってくると360度カメラが安心です。
旅行(街歩き)
Vlogなら
ポケットジンバルカメラがオススメです。
被写体や構図などを考えた上で綺麗な映像を残すことができます。
記録動画なら
360度カメラがオススメです。
全方位を記録できるのでカメラに残る情報量は単純計算で2倍以上です。
旅行先で自分が見なかったアングルをあとから見返す楽しみがあります。
室内・ナイトシーン撮影
明るさが不足しがちな場所はポケットジンバルカメラでの撮影がおすすめです。
センサーサイズが大きいため、低照度性能が高い(ノイズが少ない)のとジンバルによる物理的な手ブレ軽減で綺麗に撮れます。
よくある疑問
どっちがいい?
最終的にどのような映像にしたいのかによってカメラを選びます。
見やすくて綺麗なショットを撮影する ⇒ ポケットジンバルカメラ
クリエイティブなショットを撮影をする ⇒ 360度カメラ
編集にかかる手間を考えると1台目にはポケットジンバルカメラがオススメ。
ポケットジンバルカメラと360度カメラ、両方持つ意味ある?
撮れる映像のタイプがかなり違うので両方持っていてもそれぞれに活躍の出番はあります。
画質はポケットジンバルカメラのほうが高く、360度カメラのほうが映像的なインパクトが出やすいです。
メインショットをポケットジンバルカメラで撮って、360°カメラをアクセントに使うという使い分けは十分現実的です。