小型カメラ部門の売れ筋でトップを争うGoProとDJI Pocket2。
スマホの他にVlog用カメラを探している人の多くが一度は検討するであろう人気機種です。
「DJI Pocket2はそもそもアクションカメラと呼べるのか?」と言う話は置いておいて、Vlogカメラとして比較できないこともないので両者を比べてみます。
(特徴とか向いているシーンとかは両者全然違います。)
今回、比較するカメラ
GoPro HERO10 Black
GoProはアクションカメラの中心的存在です。今回はスペック比較時点での最新版であるHERO10の数値を使います。
GoProの主な特長(優れている点)
- 頑丈・防水
- バッテリー交換が簡単
- 5.3K・超広角にも対応
DJI Pocket2
DJI Pocket2は初代Osmo Pocketの後継機として2020年に発売されたジンバルカメラです。初代のウィークポイントを克服し、着実に進化を遂げています。
DJI Pocket2の主な特長(優れている点)
- 3軸ジンバル(物理的ジンバル)
- フェイストラッキングや背景ボケ(ハイブリッドAF 2.0)
- コンボにワイヤレスマイク付
DJI Pocket2 vs GoPro Hero10 比較表
GoPro Hero 10 | DJI Pocket2 | ||
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発売時期 | 2021年9月17日 | 2020年10月21日 | |
① | 重量 | 153g | 117g |
ストレージ | 最大512GB | 最大256GB | |
撮影時間(バッテリー容量) | 48〜128分(1720mAh) | 最長140分(875mAh) | |
防水性能 | 10メートル防水 IPX8 | なし | |
② | センサーサイズ | 1/2.3(非公式情報) | 1/1.7 |
解像度@最大フレームレート | 5.3K@60P | 4K@60p | |
画角|35mm換算 | SuperView|16mm 広角|16~34mm リニア |19~39mm リニア+水平維持|19~34mm 狭角|27mm | 標準|20mm 最大4倍ズーム | |
色味 | フラット ナチュラル 鮮明 | 標準 D-Cinelike | |
手ブレ補正 | 電子手ブレ補正 (HyperSooth4.0) | 3軸ジンバル補正 | |
ワイヤレスマイク | 純正品なし | 純正品あり | |
本体定価 | 64,000円 | 49,500円 |
まずはこのスペックから両カメラが動画撮影においてどんな特徴を有するのかざっと紹介します。その後、それぞれのカメラに向いているパターンをまとめることにします。
①デザイン面(サイズ感、機動性など)
重さだけ見ると数十グラム差と大差なく見えますが、設計的にかなり違うので特徴も随分異なっています。
DJI Pocket2は縦長の形状がポケットに入りやすく、機能も一台に詰まっているので持ちだしやすさの点で優勢。一方、GoProは本体にプラスして自撮り棒(三脚)や予備バッテリーなど荷物が増えがちです。
反面、DJI Pocket2はジンバルがついていることにより丁寧に扱わないといけませんが、GoProは落としても壊れない頑丈さに防水性能も備えており、活躍できる場所が多いです。
ストレージは特に問題なし
どちらもマイクロSDカードを使うシステムとなっており自由に選べます。一般的に128GBくらいあれば4Kでも3時間強は撮れます。どちらを選んでもそこまで不満は感じないのではないでしょうか?
バッテリー交換式のほうが便利か?
バッテリーに関してはDJI Pocket2が本体内蔵タイプなのに対し、GoProは交換式となっています。個人的にはGoProのように交換式だと充電が切れても予備バッテリーですぐに撮影を再開できるので楽だとは思いますね。
ただし、DJI Pocket2も充電しながら使うことができるので致命的な欠点とまでは言えません。あとそもそもそんな長時間連続使うのは想定されてないような気もします。
②映像面
センサーサイズの違いはけっこう大きい
GoProはセンサーサイズを公式に公表していませんが、1/2.3と言われています。一方のDJI Pocket2はGoProよりも大きな1/1.7センサーを搭載しています。
一般的にセンサーサイズが大きいほうが画質と暗所でのノイズの少なさ、ボケなどの点で有利です。
- GoPro:暗所ノイズ多い、背景ボケ不可、フェイストラッキング不可
- DJI Pocket2:暗所ノイズ少ない、背景ボケ対応、フェイストラッキング対応
最大解像度と画角における違い
GoProがDJI Pocket2よりも有利な点は5.3Kに対応しているのと広範囲を撮れることです。
一方、DJI Pocket2がGoProよりもズーム性能が優れており、よりアップの撮影が可能です。(20mmの4倍ズームなので80mm相当になります。)
なお、両方とも別売のレンズが存在しており、それを利用すればさらに広い範囲を撮影可能です。
- GoPro:Maxレンズモジュラー(Max SuperView)※画角は不明
- DJI Pocket2:広角レンズ(15mm)
どちらもカラーグレーディング可能
動画にこだわる人はlogで撮影し、色味も自分好みに調整することが多いですが、両カメラともカラーグレーディングを前提として発色を抑えた設定を選べます。
(アクションカメラの場合、厳密にはlogとは違うようですが、似たようなものでシャドーとハイライト部分にディテールが残ります。)
色をいじりたい場合は撮影時に以下の設定を選びましょう。
- DJI Pocket2:D-Cinelike
- GoPro:フラット
手ブレ補正の仕方が違う
GoProが電子的に手ブレ補正するのに対して、DJI Pocket2は3軸ジンバルで物理的に制御しています。これに関しては一長一短があると思います。
例えば、物理的なジンバルは手持ちよりなめらかですが、操作にテクニックも必要=決定的瞬間は逃しやすい?と考えることもできます。電子手ブレ補正はジンバルよりもなめらかさはないかもしれないですが、直感的に使えます。
GoProの手ブレ補正は優秀なので手持ちで撮影しても意外といいのが撮れます。特にリニア+水平維持にHyperSooth4.0をオンにすればジンバルにもひけをとりません。
音声収録はDJI Pocket2が進んでいる
風音が入っていたり、音がこもっていたりする動画はそれだけで質が低く見えてしまいますよね。
動画において映像はもちろんですが、音も重要な役割を果たしています。その中で手っ取り早く音質向上を実現する方法は外部マイクを使うことですが、動きながらの撮影を考えるとワイヤレスマイクがベストになります。
DJI Pocket2はメーカー純正品のワイヤレスマイクが存在しており、比較的シンプルに音の改善ができます。
一方、GoProでもワイヤレスマイクを使うことはできますが、純正品はありません。GoProで外部マイクを使うためには本体と通信機をケーブルでつなぐ手間があるのと、検討しなければならないことが複数あるため、音質改善のハードルが上がります。
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GoPro向きのパターン
①様々なロケーションで動画を撮る
激しく動き回って落としても壊れにくく、海や川、雪山、砂漠のようにタフな環境での使用にも十分耐えるので普通のカメラを使えないシーンで活躍します。
撮影可能なロケーションの多さで言えば、日常はもちろん、海外旅行からアウトドア活動まで幅広くカバーできるGoProのほうが有利でしょうね。
DJI Pocket2は防水性能がないので雨の日に使いにくいです。
②予算的に余裕がある
もちろんGoPro本体のみでも撮影できますが、実際は撮影環境に応じて追加でアイテムを購入して拡張して使うようなカメラとなっています。その点を踏まえるとDJI Pocket2で撮影するよりも出費は増える可能性が大です。
本体+数万円程度の予算を予め見ておいたほうが良いでしょう。
③カバンを持って移動する
撮影時、GoPro本体以外にも荷物がでることから手ぶらで出かけるにはあまり向きません。カバンを持つか車に置いておくなどして乗り切るのが一般的です。
④昼間にしか撮らない
GoProは暗所ではノイズが乗りやすいので明るいところで使ったほうがパフォーマンスを発揮できるカメラです。
朝日が昇ってから日が暮れるまでの時間帯に使うなら、問題はありません。
DJI Pocket2向きのパターン
①日常系の動画しかとらない
DJI Pocket2はGoProと比較するとかなり繊細なので激しく動きまわったりするのには向きません。スマホを扱う時レベルの丁寧さは必要です。
サイズ的に持ち運びやすく、片手での撮影もできて目立ちません。特に街歩きとかには向いています。
日帰りのお出かけや近所の散歩、繁華街で使うようなイメージです。
手ぶらで出かけることもできる
DJI Pocket 2はケースに入れてもギリギリポケットに入るくらいにまとまるので、手ぶらで撮りに行くことも可能です。
②予算7万円以下でVlog用カメラがほしい
通常、高品質なカメラと同時にジンバルやワイヤレスマイクを購入するとなるとDJI Pocket2の価格の範囲内では収まりません。
DJI Pocket 2 Creatorコンボを買っておけば、必要なものは大体揃います。バランスのとれたカメラが低予算で手に入る点で賢い選択です。
ジンバル付きカメラでなめらか映像
GoProのHyperSoothは優秀ですが、手持ちではどうしても撮れないタイプの映像もあります。
映画やPV等の映像ではジンバルが使われていることが多いですが、やはりパンやチルトといったカメラの動きに極限まで安定を求めるならジンバル撮影は欠かせません。
ワイヤレスマイクで音質向上
DJI Pocket 2 Creatorコンボに含まれているワイヤレスマイクを使えば。手軽に音声品質を上げられます。
※GoProでワイヤレスマイクを使えないことはないですが、予算や手間がかかるため、そこまでオススメはできません。
背景もちょっとボケる
ハイブリッドAF 2.0のおかげでボケのある映像を撮れます。これは他のアクションカメラにはほとんどない特徴です。
夜間にも撮れる
暗所でもノイズが少なくきれいに撮れるので、暗くなった後の時間帯にも使いたいならGoProよりも、断然オススメできます。
迷ったらレンタルしてみるのもオススメ
最後に
どちらも完成度が高く、優れたカメラです。
特徴や向いている利用シーンを踏まえた上で選べば後悔しないと思います。両方とも活躍する場面が違うので両方買う人がいるのもわかる気がしました。
ちなみにつける加えるとDJI Pocket 2を買う場合はマイク付きのCreatorコンボのほうがお買い得感があってオススメ。GoProが気になっている場合は出費を抑えるために旧モデルやOSMO Action3を検討してみてもよいかもしれません(9以降ならまだ使えます)。
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